2009年からスタートした「音楽のエロス」コンサート、今回の秋で5回目を迎えます。

◆「音楽のエロス」プロジェクトFBページ

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◆「音楽のエロス5」コンサート

11月1日(土)ヤヒロトモヒロ&井上敦 withハロハロ +金子飛鳥

開場16時、開演16時半 入場料/4,000円(学生2,000円)

11月2日(日)ヤヒロトモヒロ&井上敦 withハロハロ +梅津和時

開場16時、開演16時半 入場料/4,000円(学生2,000円)

開催場所:千種文化小劇場(名古屋市千種区千種三丁目10号)

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「音楽のエロス」ダイジェスト版

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2014年09月16日

千種文化小劇場へのこだわり

「音楽のエロス」は、1回目から「千種文化小劇場」をその会場としています。恐らく、この会場に出会う事がなければ「音楽のエロス」もなかったものと思います。

同劇場は全国でも珍しい円形の空間で、当時「音楽そのものを純粋に楽しむ事が出来る場所」を探していた僕には、かなり衝撃的なものでした。

反面その特異な形状が故に、音響システムのデザインは想像以上に困難なもので、毎回色々なシステムを試しつつ、ようやく前回で「あたかも、生音だけのように聴こえる音響システム」を実現する事が出来ました。

今回は打ち込みの使用もあれこれ考えていますので、更に「色々な音場や音像の変化・移動」を楽しんでいただけるものと思います。

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posted by ハロハロ at 05:54| Comment(0) | 千種文化小劇場にこだわる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

音響システムの考察

今日は、今回の音響を担当する高崎優希氏による「音響に関する考察」をご紹介します。

【音楽のエロス4 音響に関する考察】


○考察をまとめるにあたって、まずはリサイタル会場となる千種文化小劇場の音響特性に関して考える。

日本に4つしかない希少な常設円形劇場であり、多目的ホールではあるがコンセプトは芝居のための劇場だ。
それ故、台詞が聴き取りやすいように非常にデッドな音響特性に仕上げてあるし、役者の表情を見逃す事が無い程客席と舞台が近い。
また音響特性を機械的に補正するスピーカーが、演出に使用するセットや客席からの目線、照明効果の妨げにならないように客席のほぼ真上に位置する場所に設置してありオーディエンスは音が上からふりそそぐように感じる。

以上の特徴からコンサートにおける音響的な長所と短所をまとめると

長所
・オーディエンスもミュージシャンも直接音のやり取りで非常に臨場感がある
・楽器そのものが持つ音の指向性を普段聴く事ができない角度から感じられる
・デッドな環境であるが故、様々な音が重なっても楽器の輪郭を感じる事ができる

短所
・ホールの形状から反射が特殊でありフラットな音場特性が望めない。
・ミュージシャンの直接音によりオーディエンスが座る場所によって、バランスが異なる。
・舞台全体が迫り機構な事とホール形状の特性により、舞台上での反射音による低音特性が不自然である。

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○以上の観点から、過去の音楽のエロスで試みた音響的考察

まずは音楽的に大ダメージである「座る客席により聴こえるバランスが異なる事」を改善したい。
音が直接聴こえる環境は、ミュージシャンが聴いている音とオーディエンスが聴いている音が同一である事に繋がるのでとても良い事だ。
しかし円形である以上、自分から最も近い楽器が一番大きく聴こえるのは当然であるし、音量に関わらずその楽器の音が最も到達時間が早い。
ミュージシャンの理想はそれが音楽である以上、全てのオーディエンスにバランスの良いハーモニーを聴いて欲しいし、可能であるなら自分もそのバランスを聴きながら演奏したい(例外もあるが)ので大ダメージと表現した。

これを改善するために、やはりPAを入れる事が必須になる。
一番簡単なのは直接音や到達の早い音などが気にならない程高い音圧、つまり爆音で音像をスピーカーの方へ引っ張ってしまえば良い 。しかし、音楽のエロスはROCKコンサートではない。

次の案は、客席と舞台の間に遮音壁を張れば良い。いや、せっかくの視覚的臨場感が失われる。
そこでぐるりと取り囲む客席をおおまかに3ブロックに分けて考え、それぞれにそれぞれのミックスを行う事とする。

…これでは1ブロックに1人のPAエンジニアが必要だ。自分が三人必要である。三人分気を張り巡らせれば可能なのでこの案でいく。

次に音が上から降りそそぐ環境に関して。

これは好みによって賛否両論であると思うが、この環境がミュージシャンの位置からは非常にやりにくい音場を作り出す要因でもある。
なぜなら、円形場に配置された頭上のスピーカーからは舞台中心に向かってフラットではない特性のスピーカーの裏鳴りが鳴り響き、中心に集まり降り注ぐ。
そして、低音になるにつれて音の指向性は客席方向から失われるため、PAの大敵であるハウリングの大きな要因の一つにもなる。

簡単にいえば、客席を良いバランスにするために音圧を上げていく程ミュージシャンは演奏しにくくなる。
時にミュージシャンは自分が何を弾いているのかさえ見失う程だ。

これを改善するために、過去の音楽のエロスでは様々な試みを行った。

通常のプロセニアムやシューボックスの劇場と異なった横に広い客席ブロックをカバーするために、指向性が横に広い特殊なスピーカーを舞台上に配置した事もある。

また先程の短所を長所とするために、比較的低音特性の少ない楽器を吊りスピーカーから出し低音が多いベースやレンジの広いピア ノ等を置きのスピー カーから出す。
それによって通常のステレオから立体的に音像が広がるシステムを試みた。

さらに客席後方にもスピーカーを設置し、多い時には1ブロックにつき6,1chのスピーカーシステムにもなった。つまり客席3ブロックでは18chものスピーカーシステムになる。
それを行うと、サラウンドを使用してLiveで音像を動かす事も試みた。

いずれのシステムも演出意図には沿えたものの、格段に良いと納得できる物でも無く、今回の音楽のエロスでは今まで以上にスピーカーシステムにこだわろうと思った。


○音楽のエロス4

まずは、いうまでもないがミュージシャンが今回はどのような音楽をどのように聴かせたいのかを理解する。本当に分かっているのかと尋ねられると(アグレッシブなハロハロ に関しては)不安であるから理解できるよう努力する。

僕の理解だと今回は…

・鳴っている音を、なるべくあるがままにオーディエンスに聴かせる事。
・全ての客席から完全に同じバランスとはいわないが、オーディエンスが直接音に関して違和感を感じない程のPA的バランスをとる事。
・スピーカーから音が鳴っているのではなく、あくまでも舞台上から音が鳴っているように視線と聴覚の方向を作り出す事。
・ミュージシャンに向けてのモニターシステムは、自分の音を見失う事が無いよう、また劇場の壁が近いため反射音に惑わされぬようせめてガイドの音と自分の音はしっかり出るよう構築する事。(可能ならバランス良く出す事)

これを実現するため、今回は常設のスピーカーでもなく舞台上にスピーカーを置く訳でもなく、格段に広い指向性をもつ特殊なスピーカーを用意するでもなく、客席後方にスピーカーを立てるでもない。

話は反れるが実は実験的に別のコンサートで、舞台の中心真上に客席に向けて非常にハイパワーなスピーカーを6本、つまり各ブロックへ向けて2本ずつ吊って設置した事がある。
その際低音域用サブウーファーは客席前面の一番近い場所に置きで設置した。

これが思った以上に効果的であり、客席目線を舞台に向けつつ客席からの見切れも気にせず音像を舞台上へ定位させる事ができた。
しかし、それはどちらかというとROCKな音しか出せず繊細な音を表現するのは難しかったし、マイクを立てる位置によってはスピーカーのカバーエリアと干渉するためハウリング対策が難しかった。

この教訓を生かし、音楽のエロス4では各ブロックの舞台と客席の間にスピーカーを吊る事にする。初めての試みである。

使用するスピーカーはNEXOのPS8を選んだ。
ハイパワーが必要でなくとも繊細な音を客席隅々まで届けたいし、そこそこの指向性もあり大きさも吊っても見切れを気にしなくても良い。
さらには音像がはっきり前に出過ぎない特性のため、客席から変に『鳴ってる感』がしないと考える。

吊り位置は、ハロハロでは円形舞台に広範囲に多数のマイクを設置するため、やはり舞台上に吊るとスピーカーのカバーエリアとマイクの指向性エリアが重なってしまうため、舞台と客席の間辺りとする。
高さは音像が上に行かない位置でなおかつ客席からスピーカーで舞台が見切れないなるべく低いギリギリの位置とする。
ここに吊った想定で、PS8の指向性特性を客席ブロックに当てはめて3 Dの目線でカバーエリアを計算した。

これはかなり良さそうだ!!何よりもこのスピーカーの鳴りは全世界で信頼を得ていて、個人的にも満足いくものである事がこのシステムにする事を決定づけた。

今回はこのシステムをメインに、ステレオでいく。
やってみて補正的に常設吊りスピーカーを使用するかもしれないが、使用するにしてもディレイで後ろへそらす。

今回は打ち込み音源やシンセも使用しないためほぼアコースティック楽器だ。
ボーカルに関してはパワー不足が少し懸念されるが、今回のハロハロのコンセプトにはマッチングしているシンプルでクオリティの高い音響システムといえる。(因に、今まで音楽のエロスで使用したスピーカーの中でも値段も一番高い)

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他にもマイ クやミキサー 、他各種機材に関しても選んだ理由や通常とハロハロでの違い、通常のホールとの違いなど述べたい所だが考えていた10倍以上の文章を打ち込んだのでここまでにする。

今回の音楽のエロスではお客様が音響システムに何の関心を抱く事なく、舞台上のミュージシャンだけに終止興味を注いでもらえたなら、僕の意図は大成功だ!

高崎優希
posted by ハロハロ at 05:52| Comment(0) | 千種文化小劇場にこだわる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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